Airbnbによる、ホストとゲスト間の信頼構築の方法とは?

Nick Shapiro (トラスト&リスクマネジメント国際本部長)


「わたしを信頼してください」

そう言われると、むしろ警戒するのが普通でしょう。

信頼して欲しいなら、そのための証明を求めるのが人間の性。信頼は行動の積み重ねで得るものであり、口先だけで得られるようなものではありません。

今、この場で「携帯電話のロックを解除して、見ず知らずの人に渡してください」と頼んでも、その通りにする人はまずいないと思います。一度、TEDトークでAirbnbの共同創業者であるジョー・ゲビアが、大勢の観客に向かってまさに同じことをお願いしたことがあります。ロックを解除した携帯電話を、隣の知らない人に渡した時に観客が感じた大きな不安感は、まさにAirbnbホストが初めて誰かを自宅に泊める時の気持ちそのものではないでしょうか。メッセージだけならともかく、寝室、キッチン、トイレまで見られるんですから。

しかし、ジョーは「見ず知らずの人でも、最初にまず相手から自己紹介があり、どこに住んでいて、子どもや犬の名前まで分かったらいかがでしょうか」と続けました。「第三者によるレビューが、”ロック解除した携帯電話を持たせても全く問題ありません!”というレビューが150件も残されていると想像してみてください」。

たちまち、観客はロックを解除した携帯電話を赤の他人に手渡すことへの抵抗を感じなくなりました。その人はもはや素性のわからない他人ではなくなったからです。

もちろん、このような絶対的な信頼を得るのは、容易ではありません。ましてや今は、社会全体がかつてない程の、信頼の危機に瀕している時代です。大企業、政府、マスコミ、非営利団体の信頼は大きく失われています。

そのような社会状況に置かれているにも関わらず、Airbnbコミュニティでは人と人との信頼関係は強まるばかりです。毎晩、100万人のゲストが世界65,000の都市でAirbnbに登録されたリスティング(物件)に泊まっています。Airbnbのリスティング数は、世界191か国で400万件を突破し、世界最大手のホテルチェーン3社を合わせた数を越えるまで成長しました。

人を容易に信頼することが難しくなっている昨今、Airbnbは、どにのようにして、一度も会ったことのない人々の間に信頼を構築しているのでしょうか? もちろんオンラインの簡易な自己紹介だけでは不十分です。

Airbnbが信頼を構築する上で採用しているのは、「信頼を築く3段階」というアプローチです。相互に信頼を育むには、次の3つの前提条件を揃えなければならないと考えです。

第一に、「安全」が最も基本的な要素です。安全と思えない相手を信頼する人はいません。ただ安全だというだけでは十分ではありません。第二に、子どもの頃から植え付けられている、他人は危険であるという意識の壁を乗り超える必要があります。そして第三に、リスティングが期待していたものと違った時から、ゲストが何か物を壊してしまった時まで、どんなときでもAirbnbの専門チームがいるということを知っていただくことです。

  • 安全(Safety): Airbnbでは最新テクノロジーと機械学習を駆使し、確定の前に予約の1件1件についてリスクを査定しています。全世界で要注意人物のリストと照合を行い、米国内ではホストとゲスト全員のバックグラウンドチェックも実施。住宅安全対策のワークショップを開き、煙・一酸化炭素検知器の無償配布を実施し、緊急時の重要な情報はオンラインの防災カードで参照できるようにしています。Airbnbアカウントはすべて2段階認証で保護し、新たな端末からログインする際には追加の認証を要求します。Airbnbの安全なオンライン決済プラットフォームで支払われたお金は常に保証され、チェックインが完了するまでホスト側には送金されない安全設計です。直接振込み、現金の手渡しを催促することは一切ありません。もし催促された場合には、Airbnbに通報するようご協力をお願いします。
  • 繋がり(Connection): Airbnbでは全てのユーザーがプロフィールページを作成し、自分自身と物件についての詳細を公開しています。ホストは予約前に政府発行の身分証明書(パスポートや運転免許証など)をAirbnbに提示するようゲストに求めることも可能です。その場合は、ホスト側も身分証をAirbnbに提示しなければなりません。ゲストとホストは予約のリクエストや承認に進む前に、セキュリティ対策がされたAirbnbのメッセージ機能を使ってやりとりしながら、容易にお互いを知ることができます。さらに、宿泊後にはホストとゲストは互いにレビューをつけます。そのため、予約リクエストあるいは承認の判断をする際には、ホストもゲストも過去のレビューを参考にすることができます。
  • サポート(Support): 緊急時には、カスタマーサービスとトラスト&セーフティーの専門チームが24時間365日体制で、世界11言語での対応を行います。再予約、返金、弁償などできるかぎり問題解決をサポートします。ホスティングや旅行におけるリスクをゼロにすることは不可能ですし、安全を100%保証することは出来ませんが、Airbnbを利用するすべてのホスト、ゲストが可能な限りベストな体験ができるよう全力を尽くしています。

2016年、Airbnbを通じて予約された3,000万件以上の旅のうち、深刻な物損(1,000ドル以上の保証が適用された事例)が報告されたのは、0.009%でした。

しかしながら、トラブルは絶対あってはならないことですので、今後も私たちのプラットフォーム、ポリシー、保証制度の改善に努めていく所存です。

Airbnbの信頼に足るコミュニティの価値やその潜在的な可能性が広まりつつあります。

これまでに、世界中で数千万人の人々が、”観光客”としてではなく、暮らすように旅をしています。そして、何百、何千としったホスト、特にシニアや一般のご家庭は、お小遣い稼ぎをしながら旅行者を迎え入れるだけではなく、地元に根差した商店を盛り上げたり、異文化交流を促進したりすることで、地域社会に大きく貢献しています。

これらはすべて信頼の上に成り立ってします。互いに信頼を持てるように、私たちは手助けをしてます。信頼はシェアリングエコノミーの基礎となる通貨です。Airbnbの事業の根幹を担います。

これらをもって「わたしを信頼してください」という言葉を繰り返すつもりはありません。ぜひご自身で確かめて頂ければ幸いです。


Nick Shapiro(ニック・シャピロ)はAirbnbのトラスト&リスクマネジメント国際本部長です。前職はCIA次席補佐官、ジョン・ブレナンCIA元長官上級顧問。アメリカ国家安全保障局職員を経て、オバマ政権時ホワイトハウス報道官を務めました。@nick_shapiroでフォローできます。